1975年までに全7シーズン作られた「特捜隊アダム12」。
制作自体は1968年からですが、日本では70年代に入ってから放送されました。
テーマ曲のイントロとともに事件を知らせる無線が入って、現場に急行するというオープニングが印象的でした。
僕が大学生の頃によく観ていた海外ドラマのひとつで30分の警察ものですが、こんなに長く続くとは制作側も思ってなかったようです。
特捜隊・アダム12はこんなオハナシ
ロサンゼルス警察のピート・マロイとジム・リードの二人が主人公。2人は制服のパトロール警官で、通常はパトカーで市内の巡回をしています。
アダム12というのは管区を表す彼らのコードネーム。
邦題では“特捜隊”と言う名前がついていますけどね、別に刑事みたいに捜査するわけではありません。通報で現場に駆けつけて、その場その場の事件に対応するといった展開です。
スーパーの強盗を逮捕するとか、酔っぱらいの対処とか、ケンカ騒ぎの仲裁とか、不審車両の追跡とか…
パトロール警官が巡回中に遭遇する、アメリカならごく当たり前なのかもしれない身近な事件と並行し、その回の大筋となる事件に当たるというような話が多かったですね。
ときには不審な人物や車両をマークして様子をうかがい、決定的な瞬間を待って逮捕に踏み切るということもありますが、まあ30分ものなんで犯人側の事情・背景とかは描かず、最後逮捕したあとに犯行動機を明かされるような流れです。
たまにはライフルやショットガンを持ち出したり、他の警官といっしょに大掛かりな事件を扱う話もあれば、子供を相手に警察の仕事内容や安全指導を行う話とかいろいろありました…なんでもLAPD管内で実際にあったことに基づいて話を作っていたそうです。
そのためか、エンドタイトルに協力という形でLAPDの署長の名前が挙がっていました。
ロサンゼルス警察の全面協力体制で作られてたんですね。
30年以上前に観たきりですが、犯人にしろ被害者にしろ、撃たれこそすれ死亡するということはあんまりなかったように記憶してます。
もちろんいきなり死体に出くわすなんて展開もありませんしね。そんなコトがあったら刑事の管轄になってしまうので…
第1話で新米警官のジムと組むことになったピートは相棒を事件で失っていますが、殉職シーンについてはドラマで見せるという事はありません。
ただ、事実を元にしたドラマなので殉職した警察官をテーマにしたエピソードもありました。でもシビアな内容のものはあくまでも例外的に描かれています。
派手ではないけど30分もので展開も速いし安心して観られるというのが続いた理由かもしれません。でもホントは第3シーズンあたりで打ち切る予定だったそうですよ。
なんでも本国アメリカで裏番組の視聴率が悪かったのが幸いだったようで、それも継続につながったんだとか。
レギュラーメンバーは4人いました。
ピート・マロイ役はマーティン・ミルナー。
相棒のジム・リードをケント・マッコード。
そして二人の直属の上司で巡査部長のマクドナルド主任をウィリアム・ボエットが演じていました。
それと、オープニングやドラマの中でアダム12に無線通達するディスパッチャーをシャロン・クラリッジ(声のみの出演)が担当していましたが、この人、LAPDの現役無線係だったそうですよ!
長らく続いた上に彼らの活躍(演技)もあってか、この番組は警察官の高感度アップに貢献し、当時LAPDの警官になりたいという応募者がかなり増えたそうです。
見てて気づいた時代による変化
7年間も続くとその間に色々変化も起こります。
継続が決まった第4シーズンともなると、最初は右も左も分からない新人として配属されたジムはすっかり手際が良くなり、ピートとマクドナルド主任はそれぞれちょっとだけ出世したりと、マイナーチェンジもありました。
2人とも腕の階級章が違ってるんですよ!
そして、あるとき観てて「あれ?」と思ったのが制帽でした。
むかしのアメリカの警官って縁のとがった帽子だったのに、途中で丸くなってたんです。
さらにそのうちあまりかぶらなくなったとかね。
あ~、そういえば…犯人逮捕のとき走るのに邪魔だから常に制帽を着用するってわけじゃなくなったと、水野晴郎氏も言ってました。
さて、僕は高校~大学当時、海外ドラマのオープニングやエンディングテーマ曲を録音・録画してコレクションしてたんですが、今回改めて当時の映像を見返してみて気づいたことがあります。
この番組のプロデューサーって、ドラグネットの主役やってたジャック・ウェッブだったんですね。
ドラグネットといえば実際に事件を元にしたドラマですよ。
その関連でアダム12も制作していたのか、エンディングの最初に同じようなテロップが流れるんです。
「THE INCIDENTS YOU HAVE SEEN ARE TRUE. THE NAMES WARE CHANGED TO PROTECT THE INNOCENT.」
「あなたが(番組内で)見た事件は真実です。個人保護のため、名前は変えてあります。」
というような内容ですが…
ははあ、ジャック・ウェッブが製作総指揮だから実際の事件を元にして、それでLAPDに協力を仰いでたのか。
21世紀のこの時代になって初めて知りました!