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刑事コロンボのフルネームって聞いたことある?

コロンボの生みの親、リチャード・レビンソンとウィリアム・リンクは「刑事コロンボ」と言う作品の中で、制作に関わる上での取り決めというものをいくつか作りました。

そのひとつが“コロンボにファーストネームをつけないこと”。
つまり意図的にフルネームは出さないということがお約束だったんですね。

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刑事コロンボ・制作上のルール

刑事コロンボは多くの刑事・探偵ドラマに比べると少しタイプが違います。
言ってみれば犯人側の私生活を軸に話が進行するタイプのドラマなので、コロンボ自身のプライベートな話は一切描かれないからファーストネームなんか必要ないわけです。
そんなものがなくても話は成立しますからね。

逆にフルネームを必要とするまでキャラクター付けを細かにすると、コロンボとしての面白みがなくなるかもしれません。
だからコロンボが飼ってる犬にも名前はなく、呼び名もただの“犬”だし、奥さんがいますがやはり名前は出てこず、第三者に話す際には常に「うちのカミさん(原音:my wife)」ですしね。

現代社会においてファミリーネームがない国は数多く存在しますが、個人名、つまりファーストネームがない人なんていません。
でも刑事コロンボではコロンボのファーストネームは決められていません。

“とりあえず必要ないから”でしょう。

役者や脚本家の中には徹底してキャラクターやその周辺(生い立ちや人間関係など)、物語に直接関係のない部分に肉付けする人もいます。そのほうが物語としてリアリティが出るし、キャラクターが確固たるものになるからです。

でも当時のロビンソンとリンクはそんなものどうでもいいと考えていたようです。
コロンボの話を進める上では不要なものは一切描かないと言ったとこでしょう。

彼らは他にもお約束ごとを決めています。
• コロンボに銃を持たせない
• 自宅でくつろぐ姿を見せない
• 奥さんの姿は絶対に見せない
• 警察署内にいるところも見せない
などです。

ただし、最後の“警察署内にいるところを見せない”というルールは覆されていて「別れのワイン」においては警察署内のコロンボの姿が描かれています。
これはリンクとレビンソンがしたことではなく、さほど物語の進行に影響しないと判断した他のスタッフが行った演出ですが。

同様に新・刑事コロンボでは拳銃を持つシーンも複数回存在します。撃ちはしませんがね。

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名前を確認できるものが存在した!?

さて、それらと同じく本来物語の上では存在しないとされていたコロンボのフルネームですが、演出上どうしても表記しないといけないものがあります。

それは警察手帳。

訪ねていった先で身分を証す際に、どうしても提示しないといけません。
何しろコロンボが相対するのはみんな著名・高名な人間ばかり。しかもコロンボは殺人課といういちばん重要な部署で、なおかつあの風体ですからね。
怪しまれない・疑われないようにきっちり身分を明かさないといけません。

新・旧合わせて69話のうち、実は何度も身分証を提示する場面に出くわします。

そして一番初めに出てきたのが第5話「ホリスター将軍のコレクション」。
この回でコロンボは名誉退役軍人のマーティン・ホリスター将軍にしっかりと身分証を見せています。

そこに書かれている名前が「Frank Columbo」。
フランク・コロンボですよ。

つまりコロンボのファーストネームはフランクということになります。

このあと「黒のエチュード」でわりとしっかり提示するところや「闘牛士の栄光」で大写しになる場面があります。
いずれも筆記体で「Frankと書かれてるかな?」と言うところまで確認できます。

ふむふむ、実際に使われている小道具に書かれてるんだから間違いない!…と思いたいんですが、実のところこの名前は公式に決められたもんじゃないんだとか。

じゃあ身分証にしても、最初からはっきり見せないようにしたらいいやん!と思ってしまいますが、そこのとこスタッフはきっちりしたかったんでしょうか。

刑事コロンボも回を重ねるにつれ、フルネームを知りたがるファンが増えてきたそうで。
じゃあ非公式ながら身分証に(テキトーに)名前を振っといてやればファンサービスになるんじゃないかな?どうせ一瞬だからはっきり見えないだろうし…と考えたんでしょうかね。
当時はビデオがあっても静止画はそんなきれいにみえなかったろうし…

のちに雑学本の中で、その著者がコロンボの名前をフィリップだと公表して広めたようですが、そのような名前が一体どこから来たのかは全く不明で根拠もないようです。

結論としてはドラマの上ではコロンボのフルネームは存在しないということになります。
身分証にはあるけど名乗ってるわけでもないですし。

原音のみですが、「祝砲の挽歌」の中でファーストネームを尋ねられる場面があります。
そのときも「あたしを名前で呼ぶのはカミさんだけです」と応えるし、コロンボ役のピーター・フォークも「名前はルテナント(警部補)です」と答えるだけです。

小道具として身分証にあるんだから公表してもよさそうなのに、ピーター・フォーク自身もフランクのフの字も出しません。
つまり「認めないでくれ」と言う意思表示ですよこれは。

観るごとに好きになって興味も増してくる番組なら、その主人公について詳しく知りたくもなるでしょうが、コロンボはコロンボ。
放送も終了した現在、フルネームで呼ばれることはありえないということです。

いや、あるいはピーター・フォークがドラマの中で名乗っている通り、ルテナント・コロンボかも。

コロンボだったら笑いながらこう言うでしょう。
「サージャント(巡査部長)って名前もあるくらいですからねぇ、ルテナントがいても不思議はないでしょう」

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